鉄筋コンクリート(RC)とは
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鉄筋コンクリート(RC)とは
鉄筋コンクリート(reinforced concrete= 「補強されたコンクリート」, RC)は、コンクリートの内部に鉄筋を配することで強度を高めたものを指します。
主に柱や梁、床・壁が鉄筋とコンクリートで構成されており、鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めたものを指します。
熱に弱い鉄筋をコンクリートで覆うことで、熱から鉄筋を守って酸化を防ぎます。
一方、コンクリートは押さえつける力「圧縮」に対する抵抗力はあるものの、引張力に弱い部分があるので内部に「鉄筋」を設けて引張力に対抗する というのが構造上の理由として挙げられます。
鉄筋とコンクリート両者の短所をうまく補いあうことで、さまざまなメリットを生み出しているのがコンクリートと棒状の鋼材を組み合わせた「鉄筋コンクリート」になります。
このような鉄筋コンクリート部材は、建築物や橋梁など、一般的な構造物に、ごく普通に用いられています。
■ 鉄筋・・・・引張力(引っ張る力)には強いが、熱に弱く錆びやすい
■ コンクリート・・・・熱に強いが、引張力(引っ張る力)に弱い
鉄筋コンクリートに用いられている鉄筋の主な役割
■ コンクリートのひび割れが生じた後に、コンクリートが受け持っていた引張力を肩代わりして受け持ち、ひび割れ幅の拡大を抑える
■ クリープ変形を減らす(物体に一定の荷重(応力)を加えることで、時間とともに物体が変形していく現状のこと)
■ コンクリートの脱落を防ぐ
■ 破壊時の靭性を高める(靭性とは、粘り強さのことで、靭性に富んでいるということは、破壊するまでに大きく変形するということ。つまり、少し変形しただけでパキンと折れてしまうのではなく、グニャーと大きく曲がった末に折れるのであり、構造物の安全性という面で、極めて重要な要素となる。)
鉄筋コンクリート(RC)の特徴と注意ポイント
【耐火性に優れている】
鉄筋コンクリートは耐火性に優れています。通常の火災が起きたくらいでは補修程度で再使用が可能なくらい耐火性に優れています。
しかし注意点があります。それは、耐火性に優れているのはコンクリートだけという点です。コンクリート自体は火に非常に強いですが、その内部にある鉄筋は火に弱いのです。
火災が起きると、鉄筋コンクリートの表面にあるコンクリートが劣化してしまいます。火災のような高温状態にコンクリートが晒されると、コンクリート内のアルカリが二酸化炭素に触れてしまい中性化してしまします。
コンクリートが中性化してしまうと、コンクリート内の鉄筋が錆びてしまいます。錆は鉄が劣化する一番の原因です。この点は注意しなければなりません。
そして、コンクリートが早期中性化してしまうことによって、コンクリート内に塩化物が混入してしまいます。このコンクリート内に塩化物が混入してしまうことを「塩害」と呼びますが、塩害が発生することによって鉄筋が腐食してしまうことも考えられます。
腐食の発生によって鉄筋が膨張し、結果としてコンクリートが破壊してしまうのです。このように鉄筋コンクリートは耐火性に優れていると言いますが、実際に耐火性に優れているのはコンクリート部分であり、また注意点がたくさんあるということも覚えておきましょう。
【耐久性に優れている】
耐久性に優れ、基本的に錆や蟻害、腐朽などの心配がありません。
また、構造材として非常に優れており、長い間建築構造物として使用できるほど耐久性。
しかしこちらも注意点があります。それは「コンクリートのガン」とも言われるアルカリ骨材反応です。
アルカリ骨材反応とは?
アルカリ骨材反応は、コンクリートに使われる特定の骨材が、アルカリと反応して起こる現象です。アルカリ骨材反応を起こしてしまう骨材は、反応性の高いシリカ質骨材です。
シリカ質骨材がアルカリと反応することによって、シリカゲルが発生してしまいます。このシリカゲルは乾燥剤なとに使用されるものですが、シリカゲルは吸水性が高く、給水することによって熱を発生したり膨張したりします。それによってコンクリートが劣化してしまいます。
アルカリ骨材反応は「コンクリートのガン」とも呼ばれるものですが、アルカリ骨材反応がおきないようにするには、コンクリートを作るときの骨材を考える必要があります。
【遮音性に優れている】
遮音性能は重量が大きいほど良くなります。
薄い壁よりも分厚い壁の方が遮音性が高いのは想像しやすいのではないでしょうか。鉄筋コンクリートはその特性上分厚くなっていますので、その分遮音性に優れているともいうことになります。
しかし、いくら鉄筋コンクリート造とはいえ、開口部には他の構造と遮音性は同じになります。
【造形性に優れている】
型を作りそこにコンクリートを流し込むだけなので、曲線のような形にも対応して建築を作ることができます。また、コンクリートの触ったときの素材感が好む建築家も多くいます。
しかし曲面を作り出すときは、施工過程で費用がかかってしまいます。一般に下のような費用の比が考えられます。
価格 平面 1 : 可展面・線織面 2 : 曲面 4
このように鉄筋コンクリート造の曲面は費用が高くなってしまうことを覚えておきましょう。
【経済性に優れている】
材料としては鉄鋼よりも安価です。また、耐久性に優れているということで、メンテナンス費用や維持管理費が安いことも経済的に良いと言われる理由です。
しかしこちらにも注意点があります。鉄筋コンクリートは作るときに型にコンクリートを流しますが、コンクリートの型はコンクリートが乾いて出来上がった段階で捨ててしまいます。
そのため型枠工事をする鉄筋コンクリート造は、床面積などが大きい場合でないと経済性に優れているというメリットが発生されにくくなります。
【鉄筋コンクリートの弱点】
■建築費用が高い
RC造と木造を比べた場合、RC造は木造の費用の1.5倍ほどになることが多いです。仮に、木造で建築費4,000万円とした場合、RCでは6,000万円になるということになります。
差額をみると、なかなかインパクトです。
■重い
RC造はコンクリートや鉄筋などの材料を使うため非常に重くなります。そのため、強固な地盤が必要となります。
建築する際に地盤の強さを測り、もし建物の重量に耐えられない地盤だと判明すれば、地盤改良や杭打ち工事などをする必要があり、余計に工事費用がかかります。
■解体費用が高い
RC造の解体費用は木造よりも断然高いです。木造住宅の解体費は坪単価3万円程度が相場ですが、RC造では坪単価4~5万円くらいが相場になります。
■金銭面以外のデメリット
「改築の難しさ」「木造に比べて壁が厚くなるので狭小には不利」といったところです。見た目上の経年劣化は木造でもしますし、断熱もやり方次第です。
★鉄筋コンクリートのメリットとデメリットをしっかりと把握した上で建物を購入する・改修工事を依頼するなど、基本的な知識を身につけておけば、適正な業者を選定する際の判断材料にもなる事でしょう。